
~税理士のつぶやき~
亡くなった方(被相続人)の相続財産の内、不動産(土地・家屋)が占める割合は、約35%と多額であり、現金・預貯金と合わせると70%相当になります。
不動産を相続する場合には、まず、被相続人の所有不動産の確認を行うことが大切であり、次に登記名義変更や不動産の評価計算となります。
被相続人が何処に不動産を持っていたかの確認は、市区町村から送付される固定資産税課税明細書で大部分の不動産について把握可能ですが、固定資産税が課されていない不動産(非課税・免税点)は分かりませんので、市区町村の窓口で「名寄帳」又は「固定資産評価明細書」を取得することが良いでしょう。
また、被相続人がどこに不動産を持っていたか分からないような場合には、令和8年2月2日に施行された所有不動産記録証明制度を利用して、法務局にて「所有不動産記録証明書」を取得することもできます。
なお、未登記の建物などは証明されませんので名寄帳等と併せて確認することをお勧めします。
目次
不動産相続、「何から始める?」
名義変更・相続税・必要書類をわかりやすく解説
一戸建ての土地、建物やマンションなどの不動産をお持ちのご家族が亡くなり、相続が発生した際、「まず何から手をつければいいのかわからない」「相続税はかかるのだろうか」と不安になる方は少なくありません。 不動産の相続手続きには、名義変更(相続登記)の手続きだけでなく、期限のある相続税の申告や、適切な遺産分割協議など、専門的なステップが数多く存在します。また、法改正により手続きが義務化されたものもあるため、放置するとペナルティが発生するリスクもあります。
本コラムでは、不動産を相続した方に向けて、手続きの全体像や流れ、必要な書類、税金の計算方法まで、税理士の視点から分かりやすく解説します。
不動産を相続したら、まず確認すること
不動産を相続した際、最初にやるべきことは「所有不動産の正確な把握」です。後々のトラブルを防ぐためにも、以下の3つのポイントを必ず確認しましょう。
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被相続人と相続人の関係性を特定する
亡くなった方(被相続人)が遺言書を残していない場合、誰が財産を引き継ぐ権利を持っているのか(相続人)を確定させる必要があります。戸籍謄本を収集し、法律で定められた法定相続人が誰であるかを正確に調べます。
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相続する不動産の情報を「登記簿謄本」で確認する
相続する対象が、どのような土地、建物なのか、あるいは分譲マンションなのか、正確な状況を把握するために登記簿謄本(登記事項証明書)を取得します。こちらは管轄の法務局で取得が可能です。 登記簿謄本を確認することで、所有権が本当に被相続人になっているか、抵当権などの権利が設定されていないかを確認できます。
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不動産の評価額(固定資産税評価額・路線価)を調べる
不動産の価値がいくらになるかによって、後述する登録免許税や相続税の金額が変わります。
- 固定資産税評価額:毎年、市から送られてくる「固定資産税の課税明細書」や、市役所の資産税課で取得できる「名寄帳(なよせちょう)」で確認します。相続登記の登録免許税や相続税の倍率方式の計算に使用します。
- 路線価:国税庁が毎年公表している、道路に面した標準的な宅地の1平方メートルあたりの価額です。相続税を計算する際の基準となります(路線価が定められていない地域は倍率方式を用います)。
💡 参考リンク
- 国税庁:財産評価基準書(路線価図・倍率表)
- 【あわせて読みたい】自社参考相続ガイド:「自宅の評価」
不動産相続の手続きの流れ
不動産の相続手続きは、一般的に以下の手続きの流れで進めていきます。
【ステップ1】遺言書の有無の確認・相続財産の調査
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【ステップ2】遺産分割協議(誰がどの不動産を相続するか決める)
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【ステップ3】税務署への相続税申告・納税(必要な場合のみ:10ヶ月以内)
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【ステップ4】法務局への相続登記(名義変更)申請
ステップ1:遺言書の確認と財産調査
遺言書があれば原則その内容に従います。ない場合は、前述の通り登記簿謄本や固定資産評価明細書をもとに、すべての財産をリストアップします。
ステップ2:遺産分割協議の実施
相続人全員が集まり、誰がどの財産をどれだけ引き継ぐかを話し合う遺産分割協議を行います。全員の合意が得られたら、その内容をまとめた「遺産分割協議書」を作成し、全員が実印を押印します。不動産を特定の1人が相続するのか、売却して現金で分けるのかなどをここで決定します。
ステップ3:相続税の申告・納税
正味の遺産総額が基礎控除額を超える場合は、被相続人が亡くなった翌日から10ヶ月以内に、税務署へ相続税の申告と納税を行う必要があります。
ステップ4:法務局への相続登記(名義変更)申請
不動産の分割協議が終れば、不動産の名義を被相続人から相続人へ変える所有権移転登記(いわゆる相続登記)を法務局へ申請します。(相続税の申告前に登記することも可能です)
【あわせて読みたい】自社参考相続ガイド:「遺産分割協議書とは?遺産分割協議書の作成」
相続登記の義務化と期限
これまで、不動産の名義変更(相続登記)には明確な期限がなく、放置されてしまうケースが全国的に問題視されていました。しかし、法改正により2024年4月1日から相続登記の申請が義務化されています。
| 項目 | 義務化後のルール |
| 申請の期限 | 自分が相続によって不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内 |
| 過去の相続 | 法改正前に発生していた未登記の不動産もすべて対象(猶予期間あり) |
| 怠った場合のペナルティ | 正当な理由なく期限内に申請しない場合、10万円以下の過料が科される可能性あり |
実家を「とりあえずそのままにしてある」「誰の名義にするか決まっていないから放置している」という状態の方は、速やかに遺産分割協議を進め、名義を確定させて法務局へ所有権移転登記を申請しなければなりません。
不動産相続にかかる税金の考え方
不動産を相続する際、主に気になるのは「相続税」と「登録免許税」の2つです。それぞれの考え方と計算の仕組みを解説します。
相続税(国税)
相続税は、すべての遺産(土地、建物、マンション、現預金など)の合計額が、以下の「基礎控除額」を超える場合にのみ課税されます。
例えば、相続人が妻と子ども2人の計3人の場合、基礎控除額は となります。遺産総額がこの金額以下であれば、相続税の申告も納税も不要です。
不動産特有の注意点(路線価と特例)
駅近くや主要道路沿いの土地は路線価をベースに計算しますが、郊外のエリアでは「倍率地域」(固定資産税評価額×倍率)に指定されているケースもあります。また、同居していた実家の敷地などを相続する場合には、土地の評価額を最大80%減額できる「小規模宅地等の特例」(相続税法第69条の4)が適用できる可能性があり、これを使えば、大幅に税負担を軽減できます。
登録免許税(登記にかかる税金)
法務局で名義変更を行う際に納める税金です。 計算式は以下の通りです。
(例:固定資産税評価額が2,000万円の土地、建物の場合は、8万円の登録免許税がかかります)
💡 参考リンク
- 国税庁:登録免許税の税額表
- 【あわせて読みたい】自社参考相続ガイド:「評価額が最大80%減になる小規模宅地の特例とは?」
【必要書類】手続き別チェックリスト
不動産相続を進めるにあたり、多くの公的書類が必要となります。紛失や有効期限に注意し、効率よく集めましょう。
遺産分割協議および相続人特定に必要な書類
□ 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本・除籍謄本
□ 被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)
□ 相続人全員の現在の戸籍謄本
□ 相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印するため)
法務局への相続登記(名義変更)に必要な書類
□ 登記申請書
□ 遺産分割協議書(または遺言書)
□ 不動産を取得する相続人の住民票の写し
□ 対象不動産の固定資産税評価証明書(または課税明細書)
□ 対象不動産の登記簿謄本(情報確認用)
□ 上記1の書類一式
※上記以外にも必要な書類がある場合があります。相続登記の申請に当たっては、法務局ホームページの登記手続きハンドブックをご覧ください。
登記手続きハンドブック』(法務局HP)
不動産相続でよくある悩み
当事務所に寄せられる、不動産相続に関する代表的なお悩みをご紹介します。
お悩み1:相続した実家が「空き家」になってしまうのですが…
親が亡くなった後に実家が空き家となり、維持管理に困るケースが増えています。 空き家を放置すると、固定資産税の優遇措置から外れて税金が最大6倍になるリスク(特定空家への指定)があります。売却を検討する場合は、一定要件を満たすと譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる「空き家の発生を抑制するための特例(空き家の3,000万円控除)」が活用できる可能性があるため、早めに税理士へご相談ください。
お悩み2:不動産しか財産がなく、遺産分割協議がまとまりません
例えば、長男が実家(土地、建物)を相続したいものの、他に目立った現預金がないため、次男に分ける財産がないというケースです。このように不動産の分割が難しい場合は、不動産を売却して現金化して分ける「換価分割」や、長男が自身の財産から次男にお金を支払う「代償分割」といった方法を検討します。
まとめ/無料相談のご案内
土地、建物やマンションなどの不動産を相続した際は、まずは登記簿謄本や固定資産税評価額、路線価の確認から始めましょう。 2024年から相続登記は義務化され、3年以内の名義変更が必要となっています。さらに、財産額によっては10ヶ月という短い期限内に相続税の申告・納税を行わなければなりません。
「自分の場合は相続税がかかる?」「空き家になった実家を売却したけど申告はどうしたらいいの?」など、少しでも不安がある方は、小牧市の地域密着の税理士に一度ご相談ください。
当事務所では、不動産の評価から相続税申告、提携司法書士と連携した法務局への所有権移転登記まで、ワンストップでサポートいたします。初回無料相談を実施しておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
💡 不動産相続に関するよくある質問(Q&A)
Q1. 実家の相続登記はどこで行えばいいですか?
A1. 不動産の相続登記は、その不動産の所在地を管轄する法務局で行う必要があります。遠方にお住まいの場合は、郵送による申請や、オンライン(登記ねっと)での申請も可能です。また、司法書士に手続きをすべて委任することもできます。
Q2. 亡くなった親の家がマンションの場合、一戸建ての土地・建物と比べて手続きや税金に違いはありますか?
A2. 手続きの流れや必要書類の基本は同じです。ただし、マンションの場合は「専有部分(部屋)」と「敷地権(土地の持分)」が一体となっているため、登記簿謄本の確認や評価額の計算方法が一戸建てに比べて少し複雑になります。敷地権の割合に応じて路線価から土地全体の評価を按分して計算します。
Q3. 相続税の申告が必要かどうかの判断は、いつまでに、どのようにすれば確実ですか?
A3. 相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。期限を過ぎると加算税などのペナルティが生じるため、亡くなられてから3~4ヶ月以内には財産調査を終え、基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人数)を超えるかどうかを判断するのが確実です。評価の難しい不動産が含まれる場合は、お早めに税理士へ診断をご依頼ください。