~税理士のつぶやき~
皆さん、「相続税はお金持ちの人がかかるもの」そう思っていませんか。
以前はそうしたイメージが強かった相続税ですが、平成27年の税制改正により、相続税の基礎控除額が大幅に引き下げられた結果、相続税のかかる人の割合は大きく増加し、令和5年分においては、全国平均9.9%と、「約10人に1人」が相続税の課税対象となっています。
また、地価の高騰や不動産評価額の上昇により、都市部では不動産を所有する一般家庭にも相続税の課税対象となる可能性が高まっていますので、無関心でいることはできません。
財産の総額が高額となる富裕層の場合、相続財産の種類が多岐(不動産、自社株、金融資産、美術品など)にわたり、高い税率が適用される割合が高く、納税額も莫大になります。そのため、富裕層は生前から節税対策を行っている人が多いと思います。
富裕層の生前対策には、「不動産の活用」「生前贈与」「生命保険の非課税枠」などがあり、中には二次相続(配偶者が亡くなった際の相続)まで見据えた長期的な対策を行っているという特徴が挙げられます。
今回は相続が発生した人の内、相続税がかかる人の割合と相続税額が高額となる富裕層の節税対策についてまとめてみました。
この記事が、相続に関するお悩みを解決する一助となれば幸いです。
相続に関して不安のある方は、申告期限の余裕がある時期に専門家へ相談することをおすすめします。
そこで、ご自身のケースに合った最適な対処法を見つけ申告手続きを完了することが安心です。
Contents
お金持ちだけじゃない?相続税がかかる割合と富裕層の節税対策を税理士法人が解説
国税庁の発表によると、令和5年分の相続において相続税がかかる人(被相続人)の割合は全国平均で9.9%(死亡者数に対する課税割合)となっており、およそ10人に1人が相続税の課税対象となっています。特に地価の高い都市部では、この割合はさらに高くなります。例えば、東京国税局管内では15%を超えており、富裕層に限らず、自宅などの不動産を所有している一般家庭にも相続税の申告と納税の義務が発生するケースが増えているのです。
このコラムでは、相続税がかかる人の割合や、富裕層が行う賢明な生前の節税対策を税理士法人の視点から詳しく解説します。相続税の計算から申告まで、対策の重要性と専門家に相談するメリットをまとめてお伝えします。
相続税がかかる人の割合と、富裕層の相続に多い特徴とは?
前述の通り、現在、相続税がかかる人の割合は全国平均で約10人に1人です。
この割合は、相続税の基礎控除(「3,000万円+600万円×法定相続人の数」)を遺産の総額が超えた場合に課税対象となる、という計算に基づいています。
この基礎控除は平成27年の税制改正で大幅に縮小されました。
以前は「金持ちしか関係ない」というイメージが強かった相続税ですが、地価の高騰や不動産の評価額の上昇により、富裕層でなくても自宅やアパートなどの財産を所有している人は課税対象となる可能性が高まっています。
特に都市部では相続税がかかる人の割合が高く、一般家庭も無関心ではいられません。
富裕層の相続に多い特徴
富裕層の相続は、財産の総額が高額になるため、相続税の最高税率(55%)が適用される割合が高く、納税額も莫大になります。そのため、富裕層は「いかに生前から対策を行うか」が鍵となります。
富裕層の相続で多い特徴として、以下の点が挙げられます。
1. 相続財産の種類が多岐にわたる(不動産、自社株、金融資産、美術品など)。
2. 海外に資産を保有している人も多い(国際相続の問題)。
3. 二次相続(配偶者が亡くなった際の相続)まで見据えた長期的な節税対策を行っている。
富裕層にとって対策は義務とも言え、相続税の計算と納税資金の確保は重大な問題です。
お金持ちが行う生前の相続税対策5選
富裕層は多額の相続税を節税するために、税理士法人などの専門家と連携し、生前から戦略的な対策を行うのが一般的です。
相続税の申告・納税をスムーズにするためにも、相続が発生する前に財産の評価を圧縮したり、非課税枠を活用したりする対策が重要です。
お金持ちが行う生前の相続税対策の中から、代表的な5選を紹介します。
1.不動産を活用した節税対策
不動産の相続税評価額は、時価よりも低くなる傾向があるため、現金を不動産に変えることで評価額を圧縮し、節税につなげる対策です。
特に「小規模宅地等の特例」を適用できれば、一定の要件のもと土地の評価額を最大80%減額できる可能性があります。
富裕層は賃貸アパートやマンションの建設を行うことで、土地・建物ともに評価額を下げる対策を実施します。
2.生前贈与を計画的に行う
生前贈与は、相続財産を減らすための基本的かつ強力な対策です。
年間110万円までの贈与であれば贈与税が非課税となる「暦年贈与」を長期間にわたり行うことで、財産を次世代に移転させます。
富裕層の場合は、あえて110万円を超える金額を贈与し、贈与税を支払っても高い相続税率を回避する戦略をとる人もいます。
また、相続時精算課税については基礎控除(年間110万円)の創設により、この枠内での贈与であれば、暦年贈与のように「亡くなる前の一定期間内の贈与」も相続財産に合算されないため、確実に財産を移転できます。
ただし、選択することのよる有利不利判定が必要であること、一度選択すると暦年課税(通常の年間110万円の非課税枠)には戻れない等いくつか注意点もありますので慎重な検討が必要です。
3.生命保険の非課税枠を活用
生命保険金には「500万円×法定相続人の数」という非課税枠があり、相続税の計算から除外できます。
現金を保険料として支払うことで、非課税で相続人に財産を残すことが可能な対策です。
富裕層は複数の生命保険を組み合わせ、この非課税枠を最大限に活用します。
4.養子縁組による節税対策
養子縁組を行うと、法定相続人の数が増加し、以下のメリットが生じます。
1. 相続税の基礎控除額が増加する。
2. 生命保険の非課税枠が増加する。
ただし、相続税の計算上法定相続人として数に入れられる養子の数には制限(実子がいる場合1人まで、実子がいない場合2人まで)がある点に注意が必要です。
また、相続財産を得る権利を持つ人が増えるため親族間のトラブルにならない配慮も必要です。
5.資産管理会社(法人)の設立
富裕層や資産家の方の中には、不動産や有価証券などの個人資産を法人(資産管理会社)に移転させる対策を行う人がいます。
資産管理会社の株式の評価額は、時価よりも低く評価されることが多く、結果的に相続税評価額を圧縮する効果が期待できます。
所得の分散や事業承継の対策にも有効です。
相続税申告は専門家に相談を!税理士が行うサポート内容と選び方
相続税申告と税理士が行うサポート
相続税の申告は、相続が発生した日から10ヶ月以内に行う必要があり、財産の評価や計算が複雑なため、一般の人が正確に行うことは非常に困難です。
特に、不動産の評価を間違えると、過大な納税をしてしまったり、税務調査で申告漏れを指摘されたりするリスクが生じます。
当税理士法人は、相続税に関する専門的な知識と経験を活かし、次のようなサポートを行います。
1. 相続財産の正確な評価と相続税の計算
2. 小規模宅地等の特例など各種特例を最大限に活用した節税対策の実施
3. 遺産分割の協議を考慮した二次相続まで見据えたアドバイス
4. 相続税申告書の作成および税務署への提出代行
5. 税務調査への対応・立会い
6. 生前対策に関するコンサルティング
富裕層の対策はもちろん、相続税の申告が必要なすべての人にとって、専門家のサポートは安心と正確な納税の鍵となります。
信頼できる税理士の選び方
相続は一生に一度あるかどうかの出来事です。税理士を選ぶ際は、以下の点を重視しましょう。
• 相続税申告の実績と専門性:相続を専門とする税理士が在籍し、年間の申告実績が豊富であるか
• 不動産評価に強いか:土地などの不動産の評価は節税に直結するため、評価のノウハウがあるか
• 税務調査への対応力:万が一の際に適切に対応できる体制が整っているか
• 料金体系の明瞭さ:見積もりが明確で、追加料金の有無が確認できるか
• 生前対策への対応:申告だけでなく、将来の対策も相談できるか
当税理士法人では、相続税の申告から生前対策まで、お客様一人ひとりの状況に合わせた最適なサポートを提供しています。
お気軽にご相談ください。
まとめ
「相続税はお金持ちの人がかかるもの」という認識は現在では誤りで、相続税の課税割合は約10人に1人と増加しており、富裕層でなくても対策が必要な時代になりました。
特に、富裕層が行う生前対策の「不動産の活用」「生前贈与」「生命保険の非課税枠」などは、相続税の計算を行い、節税を実現する上で非常に有効です。
相続税の申告は期限があり、計算も複雑なため、正確な手続きと最大限の節税を行うためには、相続に特化した税理士法人に相談し、万全の対策を講じることが最善の方法です。
相続に関する不安や疑問、生前対策のご相談は、経験豊富な税理士法人である弊社にお任せください。お客様の大切な財産を守るため、全力でサポートいたします。